神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

sideジュリス

ーーーーー…俺は、珍しくとてもイライラしていた。

何故かと言うと。

「…しゅーん…」

「…」

このベリクリーデのせいである。

いや、ベリクリーデのせいじゃない。

ベリクリーデをこんなにしょんぼりとさせている、あのクソ天使に腹が立つのだ。

…何処で何をやってんだ。あいつは。

「ベリクリーデ…」

「…」

…見ていられない落ち込みっぷり。

何を考えてんだ。あの天使。

ベリクリーデにこんな顔させて、何考えてんだ。

本当に、突然いなくなったのだ。

ついこの間まで、ベリクリーデが呼べば。

いや呼ばなくても、鬱陶しいくらい何処にでも現れていたのに。

ストーカーかよ、って思わずツッコミ入れるくらいに。

しつこく、ベリクリーデに付き纏っていた。

しかし、今は…。

ベリクリーデがいくら、いつものように「クロッティー」と呼んでも。

「お願いだから出てきて」と頼んでも。

まったく聞こえていないかのように、クロティルダは姿を見せなかった。

そのせいでベリクリーデは、酷く落ち込んでしまったのだ。

「…もしかして私、クロティルダに嫌われちゃったのかな?」

ほら。こんなことを言い出す始末。

どうしてくれんの?マジで。

「そんなことないって…!絶対そんなことないって」

慰める俺の身にもなってくれよ。

「そうかな…」

「大丈夫だよ…。心配しなくても」

愛想尽かすなら、もっと早くそうなってるはずだ。

俺は天使の事情なんて知ったことじゃないが。

多分、何らかの理由があって、ベリクリーデのもとに来られないのだろう。

決して、ベリクリーデが嫌われてしまったからではない。

…と、俺は思っている。

大体、何も言わずに去るっていうのが腹立たしい。

事情があるなら、それはそれで仕方ない。

でも、消える前に、そう言ってから消えろよ。

「しばらく天界に戻ってるから」とか。「ちょっと事情があって」とか。

それくらい言ってくれれば、こっちも心配せずに済んだものを…。

…って、違うぞ。俺は別に、奴の心配なんてしてない。

天使がどうなろうと勝手だが、そのせいで落ち込んでるベリクリーデのことを心配しているのだ。

そこは勘違いしないでくれよ。頼むから。
< 30 / 424 >

この作品をシェア

pagetop