妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
「見抜かれていましたか?」
「見抜いたのは妹です。しかし、そういった事情があるというなら……ご子息のクラリアへの暴言の意味合いも随分と変わって来ると思いますが」
「……全ては私の不徳の致す所です」

 ドルイトン侯爵がゆっくりと立ち上がるのを見て、アドルグは少し驚いた。
 それは彼にとって、予想外の動きであったからだ。そのままドルイトン侯爵は開けた場所へと行き、ゆっくりと床に両膝をつけた。
 彼はそのまま、頭を下げていった。するとやがて、その頭が床につく。

「誠に申し訳ありませんでした。ディトナスがこうなったことの責任は、私にあります」
「ち、父上……」

 ドルイトン侯爵のその行為を、ディトナスは目を丸めながら見ていた。
 実の父親が、自分の半分程の年齢の者に頭を下げている。その光景に、彼はひどく動揺している様子であった。
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