妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
 アドルグがそのようなことを考えていると、地下牢に一人の男性が入って来た。
 その男性――レフティスを見て、マネリアは固まる。想い人がここに来たということに対して、彼女の理解は追いついていないようだった。
 それを感じながら、アドルグは一歩後ろに下がる。ここからは忌々しい存在ながらも、妹のことを思う男に託すことにしたのだ。

「レ、レフティス様……」
「……マネリア嬢、と言いましたかね?」
「は、はい。マネリアと申します」
「こうして顔を合わせるのは、初めてのことですね……初めましてというべきでしょうか?」

 レフティスが頭を下げるのを見ながら、アドルグは再びため息をついた。
 マネリアという令嬢は、レフティスとほとんど面識がない。その事実に対して、アドルグは呆れていたのだ。
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