妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
 ロヴェリオ殿下は、私に対して笑顔を向けてきた。
 それは、ヴェルード公爵家の人達とは違う反応だ。あの家の人々は、神妙な顔で挨拶をしてきた。彼らと比べると、ロヴェリオ殿下は友好的であるということだろうか。

 しかし、妾の子である私にわざわざ友好的な態度を取って得なってないはずである。となると、ロヴェリオ殿下は本当に良い人ということになるのかもしれない。同年代というのも、あるだろうか。

「あ、挨拶する必要があるのですよね?」
「まあ、そうしてもらえると助かるな。だけど、俺は君のことをちゃんと知っているぞ。クラリアという名前で、年は俺と同じ十歳であることも」
「そうなのですか?」
「ただ好きな食べ物なんかは知らない。それはこれから知っていくべきことだ。よろしく」
「えっと……よろしくお願いします」

 ロヴェリオ殿下は、私に手を差し出してきた。
 私はとりあえず、その手を取る。すると彼は、力強く握りしめてくれた。
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