妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
 やはり彼は友好的だ。今まで私が接してきた貴族の人達とは、色々と違うのかもしれない。
 王族というものは、そういうものなのだろうか。それとも彼が特別なのか。どちらにしても、私にとっては嬉しいことだ。

「しかし君は、どうしてこんな所にいるんだ?」
「え? えっと、お兄――アドルグ様に連れられて来たんですけど、途中ではぐれてしまって」
「アドルグ兄様と? よしわかった。そういうことなら一緒に探すとしよう」

 ロヴェリオ殿下は、ゆっくりと歩き始めた。
 私はそれについていく。この状況では、結局の所一応は兄であるアドルグ様を探すしか今は選択肢がないからである。

 ただ私は、あまり気が進んでいなかった。アドルグ様のことはそこまで知っている訳ではないが、怖い人という印象がある。今回のことを咎められるかもしれないという恐れがあった。
 正直な所、とても億劫だ。ロヴェリオ殿下の存在が、良い方向に働いてくれると良いのだが。
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