上司と始める秘密の子作り契約?!~あなたのことを好きになってもいいですか~
 わからない事ばかりだ。未来はどこでも手探りで、思い描いていたって形になるわけではない。

「あかりがどんな風に子どもを産んで育てたいか、育てていきたいか。その気持ちさえ持ってれば問題ないんじゃない?」

「……家族とか、当たり前の幸せ?わからないのに、子どもを幸せにできるでしょうか」

 あかりの問いかけに不破は少し黙ってまたぎゅっと抱き締める。苦しいくらい、締め付けられているのにあかりは思う、苦しいのが幸せだと。こんな風に抱きしめられたかった、誰かに。苦しいくらい、痛いくらい、ぎゅうっと抱き締められて感じたかった。人の熱を。

「あかりは幸せじゃなかったの?おばあさんやお姉さんと暮らしてて。あかりにとっての当たり前の幸せはそこになかったの?」

「……あった」

「それじゃダメなの?あかりの知ってる幸せのなにがいけないの?自分が幸せ知ってたらそれでいいじゃん、あかりが子供産んで幸せだって思えたらそれが子どもにとっても幸せになると思うな」

 不破の言葉があかりの胸の中に染みていく、不安だった気持ちが和らいでいく。

 包まれる熱が、あかり自身を包んで離さない。
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