上司と始める秘密の子作り契約?!~あなたのことを好きになってもいいですか~
 あかりはそんななかなか見ることのできない不破を目の当たりにして特別なものを見れたような少し得をしたような気持ちになった。それはもちろん心の中で思っていることだけれど。

「……変な話してすみません、やっぱり今月もさほどお話ししたいことはないかなって思うのでもう……」

「精子バンクってなんだ?相手は?彼氏は?結婚は?天野はその辺をどう考えて子供産みたいとか言ってんだ?」

 一気に言われてあかりは少し面食らった。けれど問いかけてくる不破の顔は真剣でどこか焦りも見える。戸惑っている、それを感じたから誤魔化すべきではないと悟った。言葉にしてしまった、不破に甘えて打ち明けた、それを不破なりに真剣に受け止めようとしてくれているのがわかった。とても良い上司だ、やはり慕われるだけの人だ、あかりはそう思って、思ったからこそ正直に答えるべきだと判断して口を開いた。

「精子を個人から買うのは怖いので公共の精子バンクで購入するのが安全で妥当だと」
 
「その判断は正しいと思う」

「相手はいません、彼氏もいません、そもそも結婚を考えていません、ただ子供が欲しいんです。一人で産んで育てたいと思っています」
 
「――」

 不破が言葉を失った。
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