上司と始める秘密の子作り契約?!~あなたのことを好きになってもいいですか~
 思いは置いてけぼりだ。

 言葉の中に含まれる思いなど同じように人に伝わるものではない。言葉は勝手に一人歩きを始めてしまう。

 
「違う……相談し過ぎてるのは、私です」
 
「あかり?」
 
 今呼ばないで、あかりはそう思った。

 
「すみません、なんでもないです」
 
「あかり」
 
「お話はそれだけですか?今後は気をつけます、すみませんでした」
 
 勢いよくそう告げて頭を下げた。そのまま不破の顔も見ず背を向けて扉に向かったところで腕を引かれた。

 
「あかり、待って」
 
 不破が見つめてくる。いつものように真っ直ぐに、紅茶色の瞳に自分が映る、それが胸をきゅんとさせた。
 
 二人の時なら見つめられる、その時間が恋しくてたまらなくなってきている。その気持ちに気づきだしたらどうしようもない。

 (また一人になるのか……)
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