Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
「さて。下条小夜が包丁を購入した店を虱潰しに探すか。」
「ああ。」
しかしどのスーパーやホームセンター、雑貨店でも小夜らしき女性が包丁を購入した、という証言を得ることは出来なかった。
そもそも目白通りに出るまでは閑静な住宅街で、『マイバケット』という小さなスーパーしかなく、そこでは包丁を取り扱っていない。
しかも目白通り沿いには警察署もある。
これから殺人をしようとする人間が、そんな道を選ぶだろうか?
「包丁を途中で購入したというのは嘘で、自宅から持って来たのかなあ?」
「そんなわけあるはずがないだろ?!犯罪者が殺人する前に図書館に寄るなんてあり得ない。」
「お前、下条小夜に肩入れしすぎてないか?もっと冷静になれよ。」
「俺は至って冷静だ。ただ真実が知りたい。それだけだ。」
桂木はそう言い、前髪をくしゃくしゃとかき上げた。
「それはごもっとも。」
野間はそう言い、肩を竦めた。