Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー

「さて。下条小夜が包丁を購入した店を虱潰しに探すか。」

「ああ。」

しかしどのスーパーやホームセンター、雑貨店でも小夜らしき女性が包丁を購入した、という証言を得ることは出来なかった。

そもそも目白通りに出るまでは閑静な住宅街で、『マイバケット』という小さなスーパーしかなく、そこでは包丁を取り扱っていない。

しかも目白通り沿いには警察署もある。

これから殺人をしようとする人間が、そんな道を選ぶだろうか?

「包丁を途中で購入したというのは嘘で、自宅から持って来たのかなあ?」

「そんなわけあるはずがないだろ?!犯罪者が殺人する前に図書館に寄るなんてあり得ない。」

「お前、下条小夜に肩入れしすぎてないか?もっと冷静になれよ。」

「俺は至って冷静だ。ただ真実が知りたい。それだけだ。」

桂木はそう言い、前髪をくしゃくしゃとかき上げた。

「それはごもっとも。」

野間はそう言い、肩を竦めた。

< 116 / 163 >

この作品をシェア

pagetop