Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
「私が腰痛持ちだってことを小夜ちゃんは知っていたからね。アパートの廊下でばったり会って、いまさっき借りてきたんです、良かったら読んで下さいねって貸してくれたんだ。」
「それはたしかに4月10日ですか?」
桂木が念を押すと、ヤエは大きく頷いた。
「この本のしおり代わりに、団子を買ったレシートを使ったんだ。ほらこのレシート4月10日のものだろ?」
たしかにその白い紙切れには「和菓子処 志村」という店名の上に4月10日と印字されていた。
「それは何時くらいか覚えていますか?」
「ああ。16時から16時半まで私の好きな落語のラジオ番組があって、それを聞き終わった直後だったから・・・16時半ちょい過ぎくらいだったかねえ。」
桂木と野間は顔を見合わせた。
やはり小夜は図書館からまっすぐアパートへ帰って来たのだ。
そして三笠ヤエに本を貸した。
死亡時刻は15時から17時、小夜が仮に17時に犯行を行った場合、帰宅可能時間はどんなに早く見積もっても18時頃・・・15時から16時まで図書館に滞在し、16時半過ぎにアパートへ戻って三笠ヤエに本を貸し、18時に加藤みのりと自宅で通話していた小夜に犯行は不可能だ・・・
「アリバイ成立、だな。」
野間が桂木の肩を叩いた。