Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
「4月10日の16時以降、あなたは下条さんの姿を見た覚えがありますか?」
「4月10日・・・4月10日・・・ああ、私の亡くなった夫の命日だ。和菓子屋で夫の好物のお団子を買って仏壇に供えたねえ。」
「その日に下条さんとすれ違ったりしませんでしたか?」
「うーん。」
三笠ヤエは何かをじっと思い出そうとしている。
頼む・・・なんでもいいから小夜と接触していてくれ・・・
桂木の祈りに呼応したように、ヤエは両手をパチンと叩いた。
「そうだ!あの日、小夜ちゃんが私に本を貸してくれたんだったっけ。」
「・・・それはなんという本ですか?」
「『腰痛に効く!ネコネコ体操!』っていう本だよ。持ってきてあげようか?」
ヤエはいったん部屋に引っ込むと、緑色の本を持ってきた。
表紙には四つん這いになり、ネコのポーズをしたレオタードの女性が写っている。