Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
2ヶ月後――
自宅のマンションのベッドで熟睡していた桂木は、スマホの着信音で目を覚ました。
「もしもし。」
寝ぼけた声でそう答えると、電話の向こうから、野間の切迫した声が桂木の耳に流れ込んできた。
「桂木。管内で事件が起きた。殺人だ。帳場が立ったからお前も来い。」
「・・・了解。」
今日は桂木の非番の日だった。
しかし事件は休日だろうが正月だろうが時を選ばない。
桂木は洗面所で顔を洗い、髭を剃った。
鏡に映った自分を見て苦笑する。
毎夜の深酒がたたり、顔がやつれている。
あの女・・・下条小夜のことを思うと、身体の奥がどうしようもなく疼いた。
小夜・・・お前は今どこにいて、何をしている。
もう立ち直って元気に過ごしているのか。
やり場のない気持ちになんとか蓋をする。
桂木は急いで白いワイシャツにグレーのスーツを身につけ、部屋を出た。