true or false~銀縁眼鏡を外した敏腕弁護士は、清純秘書に惑溺する
「俺と付き合って?」
「・・・でも、私みたいに大人しいタイプは、って」
「高校の時に、好きだったこと、思い出してよ」
今思えば、どれくらい好きだったのかなぁ・・・
「もう、高校生の時の話だから」
「・・・分かった!次の土曜の夜だけど、予定ある?」
「ううん、特に無いけど・・・」
「良かった。一緒に食事をしようよ」
「仕事は、大丈夫?」
「だ、大丈夫!深澤と会いたいから、何とかするよ。約束な」
少し焦っていたのを気に留めること無く、また、昔話をし始めた。

その時、三多君の携帯が鳴り、画面を見ると表情が強張った。
「お、親からだ。ちょっと待ってて」
慌ててその場から離れ、電話をする三多君は、戻って来ると、焦っていた。

「ごめんね、急に親が来るみたいで、家に戻らないといけないんだ」
「私のことは、気にしないで」
「本当にごめん・・・今日は親を優先したけど・・・」
そして、私の手を握ると、
「本気なんだ・・・それだけは分かって」
大人になった三多君の真剣な表情を見ると、嫌な思い出が薄らいでいく。
「また、連絡するから」
そう言いながら、大きく手を振って、帰って行った。

『本気なんだ』
三多君以外に告白したことも無いし、あんなに真剣に自分への思いを言われた事が無いから、凄く戸惑う。
好きな気持ちは正直いって今は無い。
でも、嫌いじゃないし、唯一ドキドキするマスターは憧れの人。彼氏になるなんてあり得ない。

そんなことを考えながら、公園を後にした。
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