true or false~銀縁眼鏡を外した敏腕弁護士は、清純秘書に惑溺する
私は密かに『神出鬼没 銀縁眼鏡のイケメンマスター』と名付けている。
何故、『神出鬼没』と呼んでいるかというと・・・
曜日や時間帯を変えて来たけど、一向に現れない。
男性スタッフは、学生さんか、時々見かける「こまさん」とお客さんに呼ばれている、お父さんと同じ年頃の男性だ。

はぁ・・・今日も会えなかった。
カウンター席に座ってメニューを見ていると、
「また来てくださって、ありがとうございます」
挨拶する声がして、顔を上げた。

目の前に立っていたのは・・・マ、マスター!
マスターは、ロングエプロンの紐を結びながら、目の前に立って私を見つめていた。
嘘・・・会えた・・・

「わ、私でしょうか?」
「えぇ、そうですよ。2度ほどお見かけしましたね。あっ、こう見えて、記憶力は良い方なので」
「は、はい。凄く落ち着いた雰囲気が心地良くて・・・カフェラテも美味しいですし、時々、来ています」
本当は、マスターに会いたくて来ています!とは、さすがに言えない。

「気に入っていただけて光栄です。どうぞ、ごゆっくり」
笑顔を向けられるだけで、胸が高まる。
「は、はい」
もう、カフェラテを注文すると決めているのに、恥ずかしさを隠すように、またメニュー表を取り出して、迷っているフリをした。
目が合うだけで、恥ずかしくて顔から火が出そう・・・

しばらくすると、
「少しの間、お願いしますね」
こまさんと呼ばれる人は、エプロンを外して、マスターに声を掛けた後、ドアを開けた。

入れ替わりに、綺麗な女性が店に入って来て、迷わずカウンターに座った。
「ご注文は何にされますか?」
「エスプレッソをお願いするわ」
40代くらいで黒のタイトワンピースの艶麗な女性は、私の2つ隣の席に座り、ゆるやかウェーブの髪をかき上げながら、マスターに注文した。
「かしこましました」
手際よく珈琲を淹れテーブルの前に置くと、私の方に来た。
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