true or false~銀縁眼鏡を外した敏腕弁護士は、清純秘書に惑溺する
「深澤さん、ちょっといい?」
「はい」
片桐さんに呼ばれ、所長室に入ると、手招きされて、2人でソファに座った。

「実は、お願いがあってね」
「私に出来る事でしたら」
「父さんが、ずっと2人の仲を疑っていてね。俺の家に来るって言い出したんだ」
「はい・・・」
「勿論、同棲はまだしていないって言ったけど、付き合ってるなら、一緒に過ごすこともあるだろ?ってね」

もう、顔から火が吹き出しているんじゃないかと思うくらい、熱くなる。
「そんな野暮なことするなって断ったら、怪しんでね。仕方無く、承諾したんだよ」
私の顔を覗き込み、
「いいかな?今週の土曜日、予定空いてる?」
懇願する片桐さんに見つめられて、断るなんて出来るはずないですよ・・・
「だ、大丈夫です」
「良かった。出張に行く途中に立ち寄るから、土曜日の朝7時に来るって言い出して」
「そ、そんなに早くですか!?」
「試しているんだ。休日の朝7時・・・恋人達なら、まだベッドにいるだろうから」
想像するだけで、顔がカァッと熱くなる。
「それでだけど、金曜日の夜から家に来てくれる。客室はあるから不便はかけないよ」

見つめられながら話された内容が、あまりにハードルが高くて、オーバーヒート寸前だ。
「それって・・・泊まるってことに・・・わ、私・・・」
「家の事を知らないと、疑われるからね。嫌かな?」
「い、嫌・・・ではないですが・・・」
「こんな事になってごめんね。でも、信頼出来る人は、深澤さんしかいないんだ」

いつも鋭い目つきをする姿とは全く真逆で、懇願されると、ドーベルマンに懐かれているようで、キュンキュンが止まらない・・・
「わ、分かりました。私、頑張ります」
「詳細は金曜日の夜に打ち合わせしよう。必要な物を持って来て。あとは適当にこっちで用意しとくから」

付き合ってもいないのに、家にお邪魔するなんて・・・
それに加えて、片桐さんのお父さんとお兄さんが来る・・・
私、付き合ったこと無いのに・・・上手く振る舞える自信がない。
でも、片桐さんのために上手く乗り越えないと・・・

家に帰って、早速、SNSで検索を始める。
『恋人の家族へ初めてのご挨拶』
『彼氏の家族に好印象を与える』
今週の夜は、イメージトレーニングをする毎日で、金曜日を迎えた。
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