true or false~銀縁眼鏡を外した敏腕弁護士は、清純秘書に惑溺する
「ありがとう。このままいると、僕、最低な兄になりそうだから帰るよ」
「あっ、もう優聖さん、帰って来ますけど」
「またゆっくり来るね」
「はい、また来て下さい」
玄関まで見送ると、ドアが開いた。

「ただい・・・ま・・・どうして、亮聖がここに?」
「悪いね、留守中に。ごちそうさま」
亮聖さんは、優聖さんの肩をポンと叩き、帰って行った。

みるみるうちに、優聖さんの眉と目が吊り上がって、唇を噛み締めている。
「あの・・・すみません、急に来られて、キャッ!」
鞄を投げ捨て、私の腕を掴むと、壁に追いやられた。
「ごちそうさまって、何してた?」
「色々とお話して・・・」
「それで?」
「それだけです・・・けど」
「涙の跡は何だ?何された?」
「こ、これは・・・亮聖さんが・・・」
「あいつ・・・よくも俺の心海に ・・・許さない!」

はっ!何か勘違いしてる・・・
ごちそうさま・・・あっ!

「待って下さい!ごちそうさまっていうのは、紅茶です」
「紅茶?じゃあ、どうして涙の跡が・・・」
「亮聖さんが自分を責めるから、辛くなって」

その時、優聖さんの携帯にメッセージが入った。
「亮聖からだ。『心海ちゃんはいい子だから、大切にしろよ。お幸せに』だって」
ホッとした様子で、ようやく笑みが零れた。
「ん?また来た。『別れたら、いつでも僕が引き取るよ』・・・」
「えっ?」
笑みは消え、眼鏡を外すと、細めた目に見つめられた。

「さぁ・・・尋問の時間ですね、心海さん、虚偽はいけませんよ」
敬語にさん付け・・・こ、これは怒ってる。
「その後は、身の潔白を立証してもらいますよ、いいですね?心海さん」
「あの・・・」
「拒否権はありませんから」
鞄を拾うと、部屋に入っていった。

その夜は、言うまでも無く・・・
「優聖さん・・・潔白・・・でしょ・・・」
「潔白を証明するには、啼き足りませんよ、心海さん」
炎を宿すように揺らぐ瞳に見つめられ、容赦なく啼かされる。

嫉妬心を仰いだその夜、枕元に無造作に置いてある、開いたままの避妊具の箱が、深く愛されたことを証明していた。
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