ライバル店の敏腕パティシエはスイーツ大好きな彼女を離さない〜甘い時間は秘密のレシピ〜
「そのうち『スイーツ評論家』とか名乗り始めるんじゃない?」
「ち、違うよ! そんな大げさなことじゃなくて……ただ、美味しいものを美味しいって言いたいだけで!」
照れ隠しで手を振る私に、百合香は肩をすくめて笑う。
「ま、それだけ詳しいなら、課題のスイーツも余裕でこなせるんじゃないの?」
「うっ……」
私はパフェを口にしながら言葉を詰まらせる。
課題のことを思い出した瞬間、甘い幸せな時間が急にしぼんでしまった。
「それにしても、あたしはあんたが羨ましいわ。こっちは頑張ってコーヒーだけで我慢してるのに、それだけ食べても太らないんだもんねぇ」
「えっ!? そんなことないよ! いつもお腹まわり気にしてるのに!」
百合香は目を細めてニヤリと笑う。「はいはい」と言わんばかりの態度だ。
そういえば、最近は体重計に乗っていない。
「そうだ、その栗本さん? あたしもコンテストの時に見たわよ。どこかで見たことのあるイケメンだと思ったら、これよ!」
百合香が雑誌を取り出し、私の前に開く。そのページには、"イケメンパティシエ"として取り上げられた愁さんの姿があった。写真の中で柔らかな笑みを浮かべている彼は、スイーツ界の王子様そのものだった。
女性向けの情報誌だけど、二年前のものだ。私は見たことがなかった。
「でもさ、それって本当の告白だったんじゃないの?」
百合香が意味深な目を向けてくる。私は慌てて首を振った。
「そんなわけないって!」
愁さんは、課題に合格したいから私の味覚が必要なだけだ。
パフェを口に含み考え込んでいると、不意に低い声が耳に飛び込んできた。
「天音……?」
「ち、違うよ! そんな大げさなことじゃなくて……ただ、美味しいものを美味しいって言いたいだけで!」
照れ隠しで手を振る私に、百合香は肩をすくめて笑う。
「ま、それだけ詳しいなら、課題のスイーツも余裕でこなせるんじゃないの?」
「うっ……」
私はパフェを口にしながら言葉を詰まらせる。
課題のことを思い出した瞬間、甘い幸せな時間が急にしぼんでしまった。
「それにしても、あたしはあんたが羨ましいわ。こっちは頑張ってコーヒーだけで我慢してるのに、それだけ食べても太らないんだもんねぇ」
「えっ!? そんなことないよ! いつもお腹まわり気にしてるのに!」
百合香は目を細めてニヤリと笑う。「はいはい」と言わんばかりの態度だ。
そういえば、最近は体重計に乗っていない。
「そうだ、その栗本さん? あたしもコンテストの時に見たわよ。どこかで見たことのあるイケメンだと思ったら、これよ!」
百合香が雑誌を取り出し、私の前に開く。そのページには、"イケメンパティシエ"として取り上げられた愁さんの姿があった。写真の中で柔らかな笑みを浮かべている彼は、スイーツ界の王子様そのものだった。
女性向けの情報誌だけど、二年前のものだ。私は見たことがなかった。
「でもさ、それって本当の告白だったんじゃないの?」
百合香が意味深な目を向けてくる。私は慌てて首を振った。
「そんなわけないって!」
愁さんは、課題に合格したいから私の味覚が必要なだけだ。
パフェを口に含み考え込んでいると、不意に低い声が耳に飛び込んできた。
「天音……?」