ライバル店の敏腕パティシエはスイーツ大好きな彼女を離さない〜甘い時間は秘密のレシピ〜
 そして再び季節は巡り、今日、私は──
 真っ白なウェディングドレスをまとい父の腕を取りながら、バージンロードを歩いている。
 その先で、まっすぐに私を見つめているのは愁さん。
 清潔な白のタキシードが、まるで王子様みたいに見えて、胸がぎゅっとなる。
 彼に向かって一歩一歩、父と一緒にゆっくりと歩いていく。

 ふと視線を横にやると──
 参列者の中に、百合香が目を潤ませながら手を振ってくれていた。
 その隣で、幼馴染の創ちゃんが照れくさそうに頷いている。
 新郎側の席を見ると、喫茶店のマスターも来てくれていた。
 私たちを見守ってくれていたみんなが、今日もここにいてくれる。
 それだけで心強かった。
 
 ──ああ、私は、たくさんの人に支えられて、この日を迎えたんだ。

 そんな風に思いながら、父から離れ愁さんの手を取った。
 
 誓いの言葉を交わし、指輪を交換し、私たちは晴れて夫婦になった。
 でも、まだ夢の中にいるみたいで、実感が湧かない。

 チャペルを出ると、鐘の音が高く鳴り響き、色とりどりの花びらが私たちの頭上を舞った。
 笑顔と拍手に包まれながら、私は愁さんの腕にそっと手を添え、披露宴の会場へと歩き出す。
 
 そして披露宴が進み、笑いあり涙ありのひとときを過ごした後。
 クライマックスとして運ばれてきたのは、予想もしなかったサプライズだった。
 
「……えっ?」

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