すべてはあの花のために①
再び開いた扉からは、やっぱりさっきのは現実だったんだと思わせるほどの激しいクラッシュ音が聞こえてきた。けれど、そんな様子にも気にも留めず、東條くんに続き、四人もぞろぞろと部屋の中に入っていく。
「(あ、あれ?)」
状況が理解できないまま、葵もだいぶ遅れてそれに続き、部屋の奥へと入っていった。
「お、やっと来た! お前ら遅いんだよ! 遅すぎて理事長にマ○カに誘われちまったじゃねーかよ」
「(コクコク)」
「まあ、相変わらず理事長弱すぎて話になんないけどね。ずっと逆走してるのに気づきもしないんだからさ」
「え? 気づいてたなら言ってよー」
二年生組に文句を言うのは柊くん。それに同意するように頷いたのが確か氷川くんで、若干ドS発言を理事長に繰り出したのが九条くんの弟くん。
そんな理事長と彼らの間に、とってもフレンドリーな空気が流れていて、葵は再び首を軽く傾げた。
「(なんだなんだ? なんでこんなにフレンドリーなんだ? それに、仮にも一応はお金持ち学校でしょ? 何故にマリ○カートがあるの。……てか理事長逆走してるのも気づきもしないなんて……プッ)」
とか言う葵も、しょっちゅう逆走するタチですが。
兎にも角にも、ここへと来た目的を果たそうと、葵は気持ちを切り替えて、理事長に声をかけることに。
「あ、あの~。すみません理事長。生徒会のことでお伺いしたのですが……」
葵は意を決して、控えめに声をかける。
「え~? 理事長が弱いのは今に始まったことじゃないじゃ~ん」
「そうそう、あたしがこの間一緒にやってあげた時なんて、わざとじゃないのかってくらいモグラに当たりにいってたし」
「そうなのお? おれの時は、何回も崖から落ちてたよ?」
「アタシの時なんか、角にはまって抜け出せなくなってたわよ?」
「理事長はいい加減勝つことを諦めた方がいい。きっと、恐らく、いや絶対。あんたがゴールできることは一生来ない。しょうがない。こればっかりはセンスの問題だから」
「いやだいやだ! 絶対ゴールするんだからあ!」
しかし、未だ盛り上がっている様子に、葵の声は完全に掻き消されてしまった。
けれど、そうにも関わらず葵はというと。
「(理事長ゴールもできないのか! だったら、まだわたしの方が上だな。時間はかかるけど、ゴールはできるもんねー)」
((……はあ。低レベルな争い))
「(なんだとー!)」
と、また勝手に脳内会話をして、一人大盛り上がりしておりました。
どうやら自由奔放な人たちが集められてしまったようですが、一体いつになったら、誰が話を進めてくれるんでしょうか。