すべてはあの花のために①

「道明寺様! おはようございます」

「道明寺様! 今度うちの屋敷でパーティーを……」

「道明寺様! こちらうちの新商品でして……」

「道明寺様! 本日も一段とお美しい……」

「道明寺様!! 是非! 今度! 私の絵のモデルになっ――」


 ……うんぬんかんぬん。

 そんな彼女のまわりには、大手企業の関係者や、取引先のご子息やご息女が後を絶たない。彼らもまた、少しでも自分の会社のためになろうと必死になっているわけで。


「(いつにも増してすごいな。やる気が満ち溢れてるわ)」


 ……若干名、違う方面にやる気を出している人もいらっしゃいましたけどね。
 そんなふうに声を掛けてきてくれる人たちに、彼女は心の中で感嘆をあげていたりする。


「(いや! モデルなんて絶対やんないからね!)」


 か、感嘆以外も、あげていたりする。



 ――……えー、こほん。
 そんなわけで、彼女のまわりには様々な目的で集まっている人がほとんどであり。お金目的と、変な目的以外で話しかけてもらえることはあまりないのです。



「(友達100人なんて、夢のまた夢じゃないか……)」


 桜の生徒の中には、お金目的とか変な依頼以外で話をすることはないのだろうかと、がっくりと心の中で肩を落とす。
 もちろん、中には仲の良い生徒たちもたくさんいて、いろんな話題を話している声もよく聞く。『お金持ち』と一言で言っても、雰囲気は明るい学校なのだ。

 では何故、彼女のまわりにはそんな人ばかりなのか。
 それは何を隠そう、彼女自身の境遇に原因があった。


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