どん底貧乏美女は夢をあきらめない
ホテルの前で待ち構えていた大吾に

「まあ、新婚旅行なのにこんな処に
泊まっているの?
リッツにいらっしゃいな。お部屋は
スイートを取ってあげるから、
そしたら明日も一緒にランチして
お買い物に行けるし…」

と恐ろしい事を言い出す義母に

「お母様、私がこのホテルを
指定したんです。おしゃれでスタッフも
アットホームでいいホテルなんですよ。
大吾さんが一番広いスイートを
取ってくれましたし、お料理も
おいしくて大満足なんです」

と一生懸命アピールする美玖

”これ以上連れまわされてたまるもんか!”と心で叫びつつニコッと笑っておいた。

「そう、美玖さんがいいならそれで
いいけど明後日にはプロヴァンスの方に
行くのよね。気を付けて
行ってらっしゃいね。
また欲しいものがあったら、遠慮なく
大吾に言って買ってもらうのよ。
大吾、わかっているわね。
美玖ちゃんの欲しいものは何でも
買ってあげなさいよ」

そう言って熟女二人はそのままタクシーで帰っていった。

美玖の手にはブランドのオレンジの袋やらが持ちきれないほど残されて大吾が部屋まで運んでくれた。

部屋に入ると美玖はベッドにダイブして

「あ~疲れた。
もう絶対買い物なんか行きたくない」

そう言うと、大吾が大笑いして

「ほんとにお疲れ様、お袋たちに
振り回されて大変だったな。
あの二人がそろうと熟女五人分位の
パワーだろう?」

「うん、ほんとにそう。日本では3分以上
歩かない人が、ブランド街なら
二時間でも闊歩してるのはどういう訳?
私は最初の20分でギブしたよ。
後の100分はひたすら我慢してた。
こんなにお金を使わせてどうしたら
いいんだろ。このお財布みて20万以上
するんだよ。お義母さんがどうしても
お揃いで買うって言って色違いで買って
くださったんだけど、恐ろしくて
持ち歩けないよ。今まで使ってたのは、
ぽいっと捨てられて、あとでこっそり
回収して来たけど…」

そこで盛大にため息をつく美玖を見て大吾は大笑いしている。

「私やっぱり榊家には相応しくないよね。
こんな貧乏性の嫁なんて、
ごめんね、大吾さん」

「何言ってるんだ。あの人たちの方が
おかしいんだよ。うちの母親なんか特に
ちょっとぶっ飛んでるだろ?
きつねうどんの時に思い知ったよ」

「確かに」

そう言って美玖と顔を見合わせて二人で大笑いした。
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