どん底貧乏美女は夢をあきらめない
確かに、義母は少しいやかなり個性的だ。

ぶっちゃけ世間知らずも甚だしい。

でもこれで義母の美玖にブランド物を買ってやりたいという欲求は満たされたのでやれやれだ。

大吾は買ってきたものを出して眺めている。

「ねえ、美玖これはなんだ?」

と細長いオレンジの袋を出している。

「あっ、忘れてた。それは大吾さんにって
買ってもらったネクタイだよ。
私がちゃんと選んだからね。
お代はお義母さんだけど」

大吾は取り出してみている。

「いいね。なんにでも合いそうだ」

「でしょう。きっと似合うわ。
私のイケメンの旦那様!」

そう言うと大吾は照れて耳が少し赤くなっている。

”うっ、可愛い”と思わず悶えそうになる美玖だった。

その午後はもう出かける元気がなかった美玖に合わせて、二人で部屋でイチャコラして過ごした。

夜に買ってもらったドレスを着てちょっとおしゃれなイタリアンレストランにデイナーに出掛けた。

ホテルからは歩いて行ける距離の素敵なレストランだった。

ホテルのスタッフがお勧めしてくれたので、きっと美味しいに違いない。

ドレスを着た美玖とスーツ姿で今日買ったネクタイを締めてイケメンオーラ全開の大吾と二人でレストランの入口で写真を撮ってもらい、義母にお礼を込めてラインで写真を送った。

“今から夕食です”と送ったのが運の尽き。

それから15分ほどしたらまたまた二人が現れた。

どうしてここが分かったのかと聞く大吾に義母は

「だってほらここにお店の名前が
写ってるじゃない。だから
お誘いかと思って急いできたのよ。
ねっ由美子」

”そんな訳あるかいっ”と心の中で突っ込んで顔には笑顔を張り付けた。

結局またまた四人で昨日に引き続きデイナーをたべる羽目に、≪ほんとにトホホのパリの夜≫と心の中で一句読みました。

大吾さんはもう本当に怒り心頭なのだろう一言も喋らず、ひたすらワインを飲んでいた。

もっぱら喋っていたのは、元気な熟女の二人で、美玖はただ適当に相槌をうち笑顔を張り付けていただけだ。

美味しいはずの料理の味もわかりゃしない。
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