人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
 かなり上からの言い方だ。美人なのに歪んだ形相になり、まるで醜い妖怪を見ているかのような気持ちになる。彼女の心にある憎しみの心が表面に出てきてしまっているのかもしれない。
「いい加減にしなさい」
 誰の声かと思って振り返ると、そこに立っていたのは院長と広大さんだった。
「お父さん……」
「お前がこんなことをするなんて残念だった」
「なっ……何の話?」
 院長はまりえさんに近づき、書類を見せる。
「ここにいる全員も聞いてくれ。山井さんは無実だ。宍戸ドクターに提案されてパソコンのアクセス解析を見てもらった。そしてこの部屋に出入りしたデータも調べた。あの記事を書いたのはまりえだ」
 事務所内の空気が一気に変わっていくような気がした。
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