人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
「山井さんは天然パーマのせいでプードルと言われていることがすごく気になって、嫌な思いをいっぱいしたのに、あえて動物に関わる仕事を選んだ。そのおかげで動物への愛情が深まり、この仕事が大好きになったと話していました。そういうことなんです。自分がどう捉えていくかとか、逆境をどのように変えていくか自分次第なんではないでしょうか?」
 まりえさんは何も言い返せなくなり、唇をかみしめていた。
 院長はまりえさんの手を引いて立たせ、その場から出て行く。
 事務所で働いていたメンバーが近づいてきて頭を下げた。
「疑ってごめんなさい」
「山井さんがそんなことするはずないわよね」
 急に態度を変えたことに不信感を覚えたけれど、許すというのも勇気が必要なのではないだろうか。
 今すぐにすべてを許すのは難しいかもしれない。でも素直に謝ってくれたことを受け止めたいと思った。

< 110 / 142 >

この作品をシェア

pagetop