人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
 大学時代から仲のよかった人と開業するとは聞いていたが、まさか女性だなんて思ってはいなかった。
 二人は長い時間をかけてこの病院を開くために準備をしてきたのだ。
 知らなかったので複雑な感情に陥る。
 先ほどまで甘い雰囲気だったのに……。
「広大、相談したいことがあるんだけど、時間取れる?」
「明日でもいいか? 今日は久しぶりに恋人と会えて……」
 榊原ドクターは仕方がないなというふうに腕を組んで笑っている。
「あなたが仕事よりも恋人を優先するなんてよっぽど大切な人なのね」
「あぁ、そうだよ」
 まさかこんなにはっきり目の前で言われるなんて思わなかったので、恥ずかしくて顔が熱くなってくる。
「悪いがこれから業者が来るはずだから、対応よろしくな。俺は今日は休ませてもらう」
「いってらっしゃい」
 榊原ドクターに見送られて私たちは病院を後にした。
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