人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
 弁当を食べていると、宍戸ドクターが入ってきただ。びっくりして喉を詰まらせてしまいそうになった。今まで夜勤を何度もしていたけれど休憩室で一緒になったことがなかったのだ。
「おっ、お疲れ様です」
「そんなに驚くことないだろう。危害を与えるようなことはしないから安心しろ」
「はい……」
 私の対角線上に座り、パンと缶コーヒーを飲み始めた。近くで見れば見るほど美しい顔をしている。特別なものを食べているわけではないのにテレビのCMでも見ているかのように様になっている。
 あまり見たら失礼かと思って私は自分の食事に集中することにした。食べることが大好きで小さい頃からよく食べていたので少しポッチャリとした体型になってしまっている。今も自分で持ってきた適当なお弁当なのに美味しくてついついついてしまった。
 すると宍戸ドクターが楽しそうに笑うのだ。
「喉を詰まらせるぞ?」
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