人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます

　少し新鮮な気持ちになったけれど、言われっぱなしは悔しいので私は何か言い返そうと考えた。
「宍戸ドクターは、ドーベルマンみたいです」
「は？」
「ドーベルマンは端正な顔つきなので、筋肉ムキムキですし、攻撃的だとか強そうだとかそんな印象を持たれることが多いんですけど、でも実は優しくて穏やかな性格だって書いてありました。宍戸ドクターには何度か助けていただいたことがあるので、そんな感じなのかなと思っています」
　パンを食べる手を止めて射抜くような瞳で見つめられる。余計なことを言ってしまったと思って私は背中に汗をかいてしまった。
　ビクビクしていると、次の瞬間、宍戸ドクターは楽しそうに笑い出した。
「笑わないでください」
「面白すぎるだろ」
　しばらく笑って落ち着いたと思ったらまた口を開く。