人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
「種類はブラウンだ。ブラックの毛色の遺伝子変化でできた色のようだが、俺はプードルの中ではブラウンが一番可愛らしいと思っている」
 私のことを可愛いと言っているわけじゃないのに、ドキドキして頬が熱くなってしまった。でもそろそろプードルに似ているという話はやめてほしい。
 過去の嫌なことを思い出してしまいそうになる。
「あまりプードルって言わないでいただけませんか」
「プードルは嫌いか?」
 私は少し低い声で言ったので本気で嫌がっているというのが伝わったのだろう。先ほどまでの空気感が変わったような気がした。
「実は私……天然パーマで学生時代からプードルって言われてからかわれてきたんです」
 こんなことを打ち明けるのはどうかなと思ったけど、素直に伝えた。そうじゃないとずっと言われそうな気がしたからだ。
 すると彼は申し訳なさそうな表情になり頭を下げてきた。
< 27 / 142 >

この作品をシェア

pagetop