人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
「お気持ちはとてもありがたいのですが、少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか? 突然すぎて頭も心も整理できていないというのが正直な今の気持ちです」
「そうだよね。わかった」
 宍戸ドクターとのデートはとても楽しくて夢のような時間だった。
 ホテルから出て今日のお礼をして帰ろうとしたが……。
「家まで送る」
「いえ、大丈夫です。まだそんなに遅い時間ではありませんし……」
「俺が送らせてほしいんだ。もちろん部屋まで入れてなどお願いしないから」
「そういうことではなくて……。宍戸ドクターもいつも忙しいと思いますし、休める時は休んでほしいなと」
「そんな優しいことを言われたらもっと好きになってしまう。俺のこと……期待させないでくれないか?」
 甘い眼差しを向けられて私の心臓がおかしくなりそうだった。
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