人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
「わかりました」
 人に助けてとお願いすることができればいいのかもしれないが、この事務所の中で私が一番年下ということもありなかなか言いにくい環境だった。

   *

 ブログの更新やSNSの更新で時間が取られてしまい、宍戸ドクターへの返事もできないまま時間が過ぎ一ヶ月が経過していた。
 会うたびにいつも気にかけてくれて、メッセージをくれることもある。こんなにも私に興味を持ってくれてありがたいけれど、お付き合いすることになったらまりえさんが私に対してどんな仕打ちをしてくるかわからない。
 自分も素敵だと思っている人と近づけないなんて切なかった。
「そら君退院おめでとうございます」
「ありがとうございます。本当に病院のみなさんに助けていただいたおかげで元気になって帰ることができます」
< 53 / 142 >

この作品をシェア

pagetop