人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
 壮年男性で普段は柔らかい口調で話す人だ。そんな彼が今回ばかりは院長にかなりきつく叱られたようで、顔色が悪い。
「そうですね。少し考えたらかわいそうなことだとわかるはずですが……」
 私の話を聞くこともなく一方的にまりえさんの話を信じて叱責して来たのだ。
「申し訳ありませんでした……」
 アドバイスしてきたのはまりえさんだが実際にインターネットにアップしたのは私だ。まずは謝るしかない。その後にできる対応を考えて行動しよう。
「申し訳ありません、じゃないでしょう。この病院の価値を下げる行為をしているのよ。どうしてこんなこともわからないの?」
 まりえさんが私のことを睨みつけて厳しい言葉をかけてくる。
 私も悪かったと思う。怖くてもちゃんと意見をしていれば、こんなことにならなかったのだ。
「本当に申し訳ありません……」
「責任取ってもらう必要があるわね」
< 56 / 142 >

この作品をシェア

pagetop