無口な彼の内情を知ったら、溺愛されるようになりました……!?
プロポーズ
♡♡♡
文化祭前日、午後七時。
ペガサス学園中央にある広大な敷地の踊り場。そこでは、文化祭の準備お疲れ様と明日からの文化祭を全力で楽しむという意気込みを込めた前夜祭が開かれていた。
いつもなら、制服で過ごす学校。でも、今日は女の子は全員ドレス。男の子はスーツ。
それくらい、今日という日は特別。
社交的な場が得意じゃない私。飲み物だけ持って会場の端の方でみんなを見ていた。
みんな、すっごく楽しそう。準備、大変だったもんね。
「やぁ、紫ちゃん。今日のキミは、いつにも増して麗しい。そのドレスは、キミに着てもらうためだけに生まれたようだ」
みんなを労う気持ちで見ていたら、目の前に現れたルイくんが微笑んで言った。
「ルイくんったら。私にはもう、そんなこと言わなくて良いのに」
そう。彼が、私の婚約者になりたかった目的は、フランスに残した妹の高額な治療費を工面するため。
でももう、その心配はなくなった。
「ーーハハッ、そうだね。キミにはもう、心に決めた人がいるから。これでは、翡翠に失礼だ」
あの一件以来、ルイくんは翡翠くんを敵視することはなくなり、仲良くなっていた。