無口な彼の内情を知ったら、溺愛されるようになりました……!?

 その言葉は真っ直ぐで、私の心を掴んで離さない。

「っ……はいっ。私は、翡翠くんが好き。私も、一生あなたと添い遂げられるよう努めます」

 彼の目をじっと見つめて頷くと、翡翠くんはホッと安心したような表情を浮かべ、優しい顔になった。

「わぁあ! おめでとー!」

 前夜祭の会場は、最高潮に盛り上がった。

「よかった。受け入れてもらって」

 立ち上がり、膝の砂を払うとじっと見つめられた。

「断る理由がないよ。その……これからも、よろしくね?」

「あぁ。こちらこそ」

 そう言われ、私達は婚約する運びとなった。
 正式に婚約するのは、両家の親が揃ってからだからもう少し先になるとは思う。

 だけどーー。

「翡翠。カッコよかったな。ボクもこの先、愛する人ができた時ーー同じことをしようかと検討した」

「ルイ、茶化すな。きっと、この先……これほど緊張することはないだろう」

「紫ちゃんも、おめでとう。翡翠なら、すごく大事にしてくれるよ。ボクの時ですら、すごく頑張ってくれたんだ。愛する女性には、それ以上のことをしてくれるよ」

 本当に、ルイくんの言う通り。
 私、翡翠くんと婚約できてよかった。

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