眠り王子と夢中の恋。
「髪型とメイクやってあげるよ」

「いいんですか……?」

「さっき思ったんだよね、鈴崎さん一人じゃ何もできないでしょ?」
 
う、図星だ。

「ありがとうございます……」

話していると、私の家の前に着いた。

「じゃ、また明日ね」

そう言って歩き出す小春を呼び止める。

「あの、『鈴崎さん』じゃなくて名前で呼んでほしいです。私だけ小春って言うのもなんか嫌で」

小春は驚いた顔をした後、ショートヘアを揺らしてニコッと笑った。

「じゃーね、美夜!」

心の奥が、ほんわかと温まる気がした。
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