眠り王子と夢中の恋。
はぁ、と息を吐くと、たちまちしんとした空気に溶けていく。
ズル休みなんて初めてだ。
というか今まで休んだこともなかったから、いつも学校に行っているはずの時間に家にいることに落ち着かなさを感じた。
頭の方に意識を向けるとまだ少し痛みが残っていて顔を歪めそうになる。
あの記憶は誰の、何なのだろう。
景色の見え方からして、私より年下の人のものだと推測した。
あの時に微笑んだ人は誰?
あの場所はどこ?
突っ込んできたものは、何……?
謎が浮かんでは消えていく。
私ではない、誰かの記憶。
それが突如流れてきたことの意味とは。