眠り王子と夢中の恋。
教室に入る。すると、
「美夜ちゃ〜ん! おっはよ〜!」
後ろから、声がした。
振り向くと、目の前に桜咲小春の満面の笑みと、液体──おそらく水だろう──がたくさん入ったバケツがあって。
またか、と思うのと同時に。
──バシャ……っ。
バケツを私の頭の上でひっくり返された。
髪から滴る水の音が、静まり返った教室に響く。
何回目だろうか、こうして水をかけられたのは。
「……」
かけた本人は、「やだあ、ごめんね? 手が滑っちゃって〜」と笑いながら見てくる。
ああ、また、先生に言い訳をしないといけない。
毎回嘘をつく私の身にもなってほしい。
この人たちはこんな事をして何が楽しいのだろう?
この人たちはどうして笑っているのだろう?
ああ、くだらない。
何もかもが、くだらない。