眠り王子と夢中の恋。



「……どいて」



無理やりその人たちを押しのけると、自分の席に向かって歩く。

と、机には


『死ね』『ブス』『消えろ』『無表情キモ女』


などが油性のペンで書かれていた。

けれど使用するには問題がないので、そのまま鞄を置いて準備をする。

後で濡れ雑巾で消しておくか。

ああでも、小春らがいない時にやらないとまた『みじめでかわいそ』とか言われるんだろうな。

本当はかわいそうとか思ってないくせに、よく言う。


教科書などを机の中に入れようとして、手が止まった。

机の中を覗くと、やはりごみが詰まっている。

生ごみ特有の生臭い匂いに、思わず顔を顰めてしまった。


いけない、いけない。
表情を崩してはいけない。

ゴミ箱を持ってくると急いでごみを中に捨てる。

匂いはまだ残っているがとりあえず教科書を入れる。

私にはこんな馬鹿のようにくだらないことよりも授業に遅れる方が大問題だ。


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