眠り王子と夢中の恋。
「美夜って、とてもいい響きよね!可愛い名前ね。
しかも顔も整ってて綺麗!」
璃來さんが声をかけてくる。
「……いえ、あの……私、部屋に行きますので」
「あ、そうよね!ごめんなさいね、急に押しかけて」
「……どうぞ、ごゆっくり」
「美夜……」
眉を下げて見てくる兄を無視して、私は階段を上がった。
ものすごく、いたたまれなかった。
あの二人と私は全く違う。
私は──いつも、一人だから。