眠り王子と夢中の恋。





八月に入った。

夏期講習に行く途中、私は横断歩道の反対側にある人物を見つけた。



「あ、」



その人たちも気づいたようだった。

……最悪以外の何でもない。

その時信号が青になり、
私は仕方なく俯いて歩きだした。



「見て、あのカバン」



丁度すれ違うと言う時、
その人──小春が言った言葉に、思わずはっとする。


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