眠り王子と夢中の恋。
その時だった。
──ドンッ
「ん、あれー?」
「っ……」
小春の取り巻きの一人が、座っている私にぶつかってきた。
「おっかしいなぁ、ここ誰もいないよねー?」
「え、空気しかいないのに何言ってんの?」
「あはははっ、二人とも言うねー!最高」
二人のやりとりをみてケラケラと笑いだす小春。
私は下を向いたまま耐える。
「心霊現象じゃね?」
「それな!なんか重苦しい雰囲気だしーっ」
「やだやだ、呪われるぅ」
構わず三人は話し続ける。
私は思わず、教科書を持って次の教室に移動した。
……胸の奥がざわめくような、
この気持ちはなんなのだろう。