バス通学の園川さんと寮生の三牧くん
 わたしの生活に三牧くんの存在が当たり前になった頃、お試し期間が終わりを迎えた。当日、正門前で待ってくれていた三牧くんはなんとミニブーケまで用意してくれていて、お断りする要素がひとつもなかった。
 毎朝、三牧くんのモーニングコールのおかげで起床できるようになったし、兄からは妹に先を越されるなんてと大層うらやましがられた。ちなみに「わたしの彼氏が有能すぎる……」と小奈都ちゃんに報告すると、「すごい男をひっかけたものね」と感心された。無論、ひっかけてなどいない。
 お試し期間を終えたわたしたちは、正式な彼氏・彼女として健全な交際をスタートした。これから二人の思い出をたくさん作ろうねと約束し、いろんな写真を撮った。屋上でお弁当のタコさんウインナーを頬張ったわたし、体育祭のリレーで運動部と接戦する三牧くん、燃えるような夕焼け、二匹の雪うさぎ。幸せな思い出が積み重なっていく。
 そして、翌春。
 草木が芽吹き、再び木々は桜色に染まった。わたしは三牧くんお手製のお弁当を平らげ、食後の桜餅を頬張る。嬉しそうな三牧くんを見ているだけで、こちらも嬉しい。
 最後は二人で舞い散る花びらを集めて、ベンチの上にハートを作った。
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