最愛から2番目の恋
30 助かった者、傷付いた者、そして逝った者
本来なら最前列ではなく、2列目か3列目に座るのが相応しいと尻込みしたサレンディラを、父親が叱って前に座らせたのは見た。
加えて、まだデビュタント前の彼女は、成人女性のようにベールは被っていなかった。
あんなに綺麗な公女だったのに。
あんなに親しげに、お飾りの妃に微笑みを見せた……
「直ぐに蛇獣人の女官が呼ばれて噛ませて、取り敢えず眠らせたようですが、あまりにひどい火傷なので……アストリッツァでは……」
「分かったわ、もういい。
……その話は後で聞かせて」
獣人の国のアストリッツァの医療が遅れているのは、有名な話だ。
彼等は強靭な肉体に生まれ、あまり病に掛からず、怪我をしても自然治癒力で回復するから、と言われているが。
実際は、重い症状の者はそこまで、とさじを投げられているだけなのだろう。
実際、国民の平均寿命は他国よりも短い。
蛇獣人の毒で麻酔状態のサレンディラ公女だが、いつまでもそのままでいいわけがない。
ここを出たら直ぐにでも、父に頼んで、姉のエレメインに早馬を送って貰おう。
加えて、まだデビュタント前の彼女は、成人女性のようにベールは被っていなかった。
あんなに綺麗な公女だったのに。
あんなに親しげに、お飾りの妃に微笑みを見せた……
「直ぐに蛇獣人の女官が呼ばれて噛ませて、取り敢えず眠らせたようですが、あまりにひどい火傷なので……アストリッツァでは……」
「分かったわ、もういい。
……その話は後で聞かせて」
獣人の国のアストリッツァの医療が遅れているのは、有名な話だ。
彼等は強靭な肉体に生まれ、あまり病に掛からず、怪我をしても自然治癒力で回復するから、と言われているが。
実際は、重い症状の者はそこまで、とさじを投げられているだけなのだろう。
実際、国民の平均寿命は他国よりも短い。
蛇獣人の毒で麻酔状態のサレンディラ公女だが、いつまでもそのままでいいわけがない。
ここを出たら直ぐにでも、父に頼んで、姉のエレメインに早馬を送って貰おう。