逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 彼は言葉の代わりに、私の左手をそっと掴む。その瞬間、またしても胸がドキドキと加速する。

「薫に一番似合うリングを見つけるから」

「私に似合うリングはここじゃなくて、もっと大衆的な店にあると思……」

 そう言いかけたとき、ショップのエントランスが開き、店員が満面の笑みで私たちに近づいてきた。

「出雲さま、お待ちしておりました。ウェルカムドリンクをご用意しております。どうぞ中へ」

 私は蓮さんを見上げた。彼は紳士的な笑みを浮かべ、エスコートするように手を差し出す。

 予約していたのね……。

 これが、蓮さんの妻となるために必要なステップなのか。

 こんな華やかなジュエリーショップは私にふさわしくない。いや、それ以前に、そもそも蓮さんの隣に立つ資格なんて、本当にあるのかすらもわからない。

 それでも。彼の隣にいるときに感じるこの温もりだけは、どうしても手放したくなかった。
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