逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 その瞬間、鈍い衝撃音とともに、男の手が突然私から離れた。

 何が起こったのかわからず、私は恐怖で目を閉じ、しゃがみ込む。すると、今度は優しく温かい手が、そっと私の肩に触れた。

「大丈夫ですか?」

 ゆっくり目を開けると、息を呑むほど美しい男性が、片膝を付いて心配そうに私を見つめていた。

 彫刻のように整った顔立ちで、長いまつ毛が影を落とす瞳は、宇宙のように深い色をしていた。

 引き締まった細身の体が際立ち、まるで……映画のワンシーンから飛び出してきたかのようだ。

「怪我は、ないですか?」

 彼の声がもう一度響く。低く落ち着いた、心を溶かすような声。わずかに癖のある黒髪が額の上でゆっくりと揺れ、彼をさらに魅力的に彩った。
 私は息を呑んだ。胸がドキドキして、言葉が出てこない。

「覚えてろ!」

 その男性を見て勝ち目がないと悟った酔っぱらいは、クリエイティブでない捨て台詞を残して去っていった。
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