逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 緊張が解け、私は立ち上がろうとした。だけど今度は膝が震え、足の力が抜けそうになる。

 男性が素早く腕を回し、私を支えた。彼の顔がさらに至近距離になり、さっきとは違う意味で頭がクラクラする。

「本当に、大丈夫?」

 男性の体の温もりが伝わってきて、私はただ首を縦に振るしかなかった。

 シナリオでは恋愛の上級キャラを描いていても、こんなにも完璧な人との出会いが、まさか実際にあるなんて……想像もしていなかった。

 誰かにときめく気持ちがこんなにも甘く切ないものだということを、私はそのとき、初めて知った。

「怪我がないようなら、これで」

 彼が踵を返そうとする。私の手は、無意識に動いていた。そして気づいたときには、彼のスーツの裾を掴んでいた。

 ──なぜあのとき、あんな言葉が口から出たのか。私自身のことなのに、今だに理解できないでいる。

 それでも私は確かに言った。どうしても、止められなかった。

「……私と、結婚して」
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