逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 蓮さんが丁寧に頭を下げると、おばあちゃんは首にかけたタオルで汗を拭きながら、ニンマリと笑った。

「えらく男前じゃないの。まぁ、おじいちゃんには勝てないけどね」

 とびきりハンサムな人を見たときに言う、おばあちゃんの常套句だ。

「わかってるよ。おじいちゃんに勝てるのは、若かりし頃のアラン・ドロンだけなんでしょ」

「That's right!」

 おばあちゃんは上手な発音で答えた。実は週2回、英会話レッスンにも通っているのだ。

「さ、入りなさい。うな重の出前も届いてるから」

「出前頼んだの? 明日香ちゃんのお稲荷さんを食べてから来るって言ったのに」

「そりゃ、明日香ちゃんのお稲荷さんには勝てないけど、うなぎなら別腹でしょ? ね、蓮くん」

「ありがとうございます。喜んでいただきます」

 蓮さんの礼儀正しい笑顔に、おばあちゃんも嬉しそうに微笑む。スラリとした見た目とは裏腹に、蓮さんは食事をしっかり楽しむ人だ。

 それに気づけば、おもてなしが好きな私の家族とはすぐに打ち解けるだろう。

 これから始まるひとときが、何だか楽しみになってきた。
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