逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「まもなく東京駅到着」のアナウンスが流れる。蓮さんがゆっくりと、私のほうを向いた。
「薫」
「はいはい」
夕食のリクエストでも聞かれるのかと思って、私は軽い調子で返事をした。蓮さんもきっと疲れてるし、さっきローカルスーパーで買った「ぽんちゃんラーメン」でも作ってあげようか……なんて思いながら。
けれど、蓮さんの口から出たのは、夕飯の話ではなかった。
「このリンゴ、いくつかもらってもいい? リンゴが好きな人がいるんだ」
「もちろん。いくつでも、どうぞ」
そう答えた瞬間、蓮さんがふいに体を傾け、私の肩にそっと手を添えた。
思いがけない近さに、心臓が高鳴る。手のぬくもりが肩に広がり、呼吸が少し浅くなった。
平然を装いたいのに、視線が定まらない……お願い、そんな顔で見つめないで。私は、ただでさえ意識しすぎているのに。
もし、蓮さんが私のことを少しでも特別だと思ってくれているのなら──こんなふうに触れられたら、きっと嬉しいのに。
でも、きっと違う。私は勝手にときめいて、勝手に期待して、そしてまた、何も言えないまま落ちていく。
冗談めかして「近すぎ」と文句を言おうかと思ったそのとき、蓮さんが口を開いた。
「来週、もしよかったら……母に会ってほしい」
まったく予想していなかったその一言に、私は目を見開いたまま、ただ彼を見つめることしかできなかった。
「薫」
「はいはい」
夕食のリクエストでも聞かれるのかと思って、私は軽い調子で返事をした。蓮さんもきっと疲れてるし、さっきローカルスーパーで買った「ぽんちゃんラーメン」でも作ってあげようか……なんて思いながら。
けれど、蓮さんの口から出たのは、夕飯の話ではなかった。
「このリンゴ、いくつかもらってもいい? リンゴが好きな人がいるんだ」
「もちろん。いくつでも、どうぞ」
そう答えた瞬間、蓮さんがふいに体を傾け、私の肩にそっと手を添えた。
思いがけない近さに、心臓が高鳴る。手のぬくもりが肩に広がり、呼吸が少し浅くなった。
平然を装いたいのに、視線が定まらない……お願い、そんな顔で見つめないで。私は、ただでさえ意識しすぎているのに。
もし、蓮さんが私のことを少しでも特別だと思ってくれているのなら──こんなふうに触れられたら、きっと嬉しいのに。
でも、きっと違う。私は勝手にときめいて、勝手に期待して、そしてまた、何も言えないまま落ちていく。
冗談めかして「近すぎ」と文句を言おうかと思ったそのとき、蓮さんが口を開いた。
「来週、もしよかったら……母に会ってほしい」
まったく予想していなかったその一言に、私は目を見開いたまま、ただ彼を見つめることしかできなかった。