逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 それから彼は自分の口元に手を当て、少し笑いを含んだ声で言った。

「あなたは……面白い人ですね」

「恐れ入ります。じゃ、私はこれで」

 踵を返した私を、またしても彼が引き止めた。

「とりあえず、食事をしながら話しませんか。近くの店を予約してありますので」

「お礼の品をお渡しできれば、私にはもうお話することはないのですが」

 少しクセのある髪の一筋が額にかかり、私はドキッとした。完璧な男性がふと見せる、無防備な瞬間を目撃したような特別感が、そこにはあった。

 ほんの少し前髪が乱れるだけで、周りの人を惹きつけてしまうこの現象に名前をつけるとしたら……。

 私はバッグから手帳を取り出し、「フラッシュチャーム(技名)」と書き込んだ。一瞬だけチャーミングな姿を見せ、相手を油断させる技だ。うん、ラブコメのシナリオに使えるかも。

 手帳から顔を上げると、彼は再びくすくすと笑っていた。

「いろいろと楽しそうな人ですね。予約の時間までもうすぐですから、とりあえず行きましょう」
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