逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「さすが薫。ブルーチーズが合うと思ったんだけど、風味が強くなりすぎないようにゴルゴンゾーラは少量にして、モッツアレラとゴーダを組み合わせてみたんだ」

 理央さんは感嘆の声を漏らした。「兄さん、腕を上げたね!」

「簡単だから、ルーカスにも作ってあげてくれ」

 テーブルの上には空になった皿が並び、部屋にはピザの香ばしい香りだけが残っている。私たちは食後の余韻に浸りながら、しばらく他愛のない会話を楽しんだ。

「薫は誕生日だし、理央には確実にパッキングを終わらせてほしいから」と、食後の洗い物まで蓮さんが引き受けてくれた。それから彼は「シャワーを浴びてくる」と立ち上がり、リビングには私と理央さんだけが残される。私は理央さんに「大学院で何を専攻しているの?」と尋ねた。

心理学(サイコロジー)。カウンセラーになりたくて」

 理央さんは、コーヒーテーブルの隅に積まれた洋書を一冊手に取った。心理学の専門書なのだろう、ページの端から無数の付箋が顔を出している。

「いろいろ課題(アサインメント)があるから持ってきてるの。荷物が重くなっても、紙の本が好きなんだ」
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