逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
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 スーツケースを引く音、搭乗案内の多国語アナウンス、そして旅立ちの高揚感に溢れる人々……。羽田空港第3ターミナルの出発ロビーは、活気に満ちていた。

 チェックインを済ませた理央さんは、私たちの前に立って、輝くような笑顔を向ける。

「見送りはここまでで大丈夫。2人とも、ありがとう」

 さっきまで、兄に甘える妹の顔だった理央さんの表情が、急に大人びて見えた。芯の強さと包み込む優しさを兼ね備えた女性──そんな一面が浮かび上がり、私は改めて、彼女のことを魅力的な人だと感じた。

「ルーカスによろしく伝えて」

 蓮さんが腕を広げ、理央さんをしっかりと抱きしめる。その光景に、二人がお互いをとても大切に思っているのが分かり、胸の奥が温かくなった。

 それから理央さんは優しく腕を広げ、私にもハグをくれた。

「薫さん、あなたが兄さんのそばにいてくれて嬉しい。また帰国したら、一緒にたくさん過ごそうね」

「ありがとう、楽しみにしてる」

 私も彼女を強く抱きしめ返した。

 理央さんは「それじゃ、またね」と手を振りながら、出国審査のゲートへと消えていった。
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